採点のポイント

2003年設計課題「保育所のある複合施設」 

2003年の一級建築士「設計製図の試験」は、受験者11,100人、合格者4,477人、合格率は40.3%という非常に厳しい結果が出ています。

採点は4段階、T、U、V、Wに区分され、ランクTが合格です。
 ランクT:「知識及び技能」を有するもの
 ランクU:「知識及び技能」が不足しているもの
 ランクV:「知識及び技能」が著しく不足しているもの
 ランクW:設計条件・要求図面等に対する重大な不適合に該当するもの
 *「知識及び技能」とは、一級建築士として必要な「建築物の設計に必要な基本的かつ総括的な知識及び技能」をいう。

各採点ランクの割合は、T:40.3%、U:22.7%、V:15.2%、W:21.8% と発表されました。
採点のポイント 2003年設計課題「保育所のある複合施設」 
(1) 計画一般
(敷地の有効利用、配置計画、ゾーニング、動線計画、各部門・各室の計画等)
(2) 設計課題の特色に応じた計画
@ 保育所部門、情報センター部門及び駐輪場部門のゾーニング・動線計画
A 敷地周辺の環境に配慮するとともに良好な保育の環境を確保した計画
(3) 構造・設備に対する理解
(4) 設計図書の表現
(5) 設計条件・要求図面等に対する重大な不適合
@ 要求図面のうち1面以上欠けるもの、又は面積表が完成されていないもの
A 「ラーメン構造による鉄筋コンクリート造、地下1階地上3階建、1棟の建築物」でないもの
B 図面相互の重大な不整合(上下階の不整合等)
C 床面積の合計が「2,200u以上、2,700u以下」でないもの
D 「所要室」及び「その他の施設」のうち、次のいずれかの室又は施設が計画されていないもの
保育室、ほふく室、保育室(4室ないもの)、遊戯室、図書室、図書作業室、情報検索ギャラリー、集会室(全くないもの)、駐輪場、屋外遊技場
E 来館者用の乗用エレベーター(1基)が計画されていないもの
F その他設計条件を著しく逸脱しているもの(多数の室・施設の欠落等)
※ 一級建築士「設計製図の試験」合格発表 JAEIC より
  財団法人建築技術教育普及センター(JAEIC)

「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合に該当するもの」が21.8%と発表されています。この(5)はわかり易い項目ですが、(1)から(4)の配点と、ランクTとU・Vの線引きがどこだったのか非常に気になります。

JAEICによる「設計製図の試験」標準解答例の公表

2003年は合格発表と同時に、「設計製図の試験」の解答例が財団法人建築技術教育普及センター(JAEIC)より公開されました。試験機関であるJAEICが解答例を公表したのは2003年が初めての事で、今後の受験者にとり良き指標になると思います。

”標準解答例は、合格水準の標準的な解答例を示すことを意図したものであり、設計課題の与条件を全て充足した完全な解答例ではありません。”とコメントされていますが、図面の精度・表現方法など参考にする点が多くあります。家具や設備機器の記入密度、特定防火設備の表現などは、この解答例を目安にすることができます。また、採点のポイントに示されたように、敷地の有効利用、配置計画、各部門のゾーニングと動線計画、周辺環境の配慮に重きを置いた採点がされるていることも推察できます。
(JAEICの解答例は、設計製図の試験の合格発表時に公開され、しばらくの間、閲覧することが出来ましたが、現在は終了しています。)

  財団法人建築技術教育普及センター(JAEIC)


平成15年一級建築士「設計製図の試験」課題発表 7/28(月)
  今年の課題「保育所のある複合施設」について











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