設計製図>平成24年課題

多目的スペースのあるコミュニティ施設[鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)2階建] 2012.6.8(金)

平成24年二級建築士試験「設計製図の試験」の課題

多目的スペースのあるコミュニティ施設[鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)2階建]
全ブロック(全都道府県)共通

要求図書については、1階平面図兼配置図、2階平面図、立面図、断面図、面積表、仕上表、主要構造部材表及び計画の要点等とする。
なお、計画の要点等については、概ね100〜200字程度で課題における特定の要求室に関し、その計画等に当たって工夫した点等を具体的に記述するものとする。
(注)答案用紙には、1目盛が5ミリメートルの方眼が与えられている。



この設計課題から「多目的スペース」「コミュニティ施設」という2つのキーワードが読み取れます。さらに、3年ぶりに「鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)2階建」が指定されました。

多目的スペース
多目的スペースは、集会・実習・図書・展示・児童・高齢者等の目的で設けた多目的室。それと多目的室と屋外テラス等を一体的に利用したものと考えることができます。

コミュニティ施設
コミュニティ施設は、地域住民のための集会等を中心した場である。また、文化活動、生涯学習など通して、子供から高齢者まで、世代を超えた交流の施設となることが考えられます。

設計条件の想定
<設計条件>
課題の最初に記載される最も重要な設計条件として、
・高齢者・車いす使用者の利用に配慮
・多目的室と屋外スペースとの一体的利用
・通り抜け通路
・室の天井高を指定
・既存樹木に関連させた配置計画
・プローチ制限
などが考えられます。

<敷地>
敷地は、18m×18mのように、メーターモジュールの寸法で出題されることが多いようです。過去のRC造の出題から、敷地面積は300〜400m2程度が想定できます。RC造では二面道路の出題が多く、道路で表と裏を挟まれた敷地や角地、東西南北のどれに面するかによつて多様なパターンが考えられます。また、敷地の一部を緑地スペースとし、建築物を制限することも考えられます。

<延べ面積>
二級建築士が設計できる「鉄筋コンクリート造」の延べ面積は300m2以下であり、これを超えるものは一級建築士でなければ設計できないと建築士法に規定されています。設計製図の試験においても、この300m2以下の範囲で出題されています。過去のRC造の出題では延べ床面積230〜290m2程度のものが大半です。A2の答案用紙に作図するため、これ以上に大きな敷地面積や延べ面積では用紙に納まらないことも面積範囲を制限していると思われます。

<構造、階数及び建築物の高さ>
鉄筋コンクリート造2階建が指定されています。高さについては、二級建築士が設計できるのは「建築物の最高高さ13m以下、かつ、軒高9m以下」と建築士法に規定されていますので、この範囲内で出題されると想定できます。

<要求室>
今年の課題では、玄関ホール、集会室、実習室、図書室、閲覧室、事務室、多目的室、便所(男女別・車いす用・幼児用)、湯沸室、倉庫、エレベーターなど多くの室を想定できますが、それぞれの室機能を理解し、適切な動線計画ができるようになることが大切です。

<エレベーター及びスロープ>
公共性の高い建築物においては、エレベーターの出題も考えられます。また、屋外からの車いすの利用、玄関への屋外スロープの設置など、細かい条件が要求されると思われます。

<屋外施設等>
駐車スペース、駐輪スペースが要求されることが考えられます。車椅子の利用に配慮する場合は、乗降のための広い面積の駐車スペースが必要です。

要求図面
今年は、課題発表時に要求図面が公表されました。”要求図書については、1階平面図兼配置図、2階平面図、立面図、断面図、面積表、仕上表、主要構造部材表及び計画の要点等とする。なお、計画の要点等については、概ね100〜200字程度で課題における特定の要求室に関し、その計画等に当たって工夫した点等を具体的に記述するものとする。(注)答案用紙には、1目盛が5ミリメートルの方眼が与えられている。”と公表されています。

「主要構造部材表」について
過去の課題では、「主要な柱断面、2階床大梁断面、主要な外壁の厚さ、2階床スラブの厚さ」の寸法記入が要求されています。今年度も同様と考えられます。試験の中で実際に構造計算をすることは難しいですが、柱、梁などの形状、配筋、鉄筋量が適当がどうか判断できる能力を養うことも大切です。

計画の要点等について
”計画の要点等については、概ね100〜200字程度で課題における特定の要求室に関し、その計画等に当たって工夫した点等を具体的に記述するものとする。”と公表されていますので、記述した文章と図面の整合性が重要です。

制限時間5時間という限られた時間の中で、テーマをもった2階建ての建物を計画し、平面図2面を描き上げるだけでも大変な作業です。本年度の課題は、エスキースと鉄筋コンクリート構造の理解に重点を置きながら、作図のスピードを確実に身につけ、完成度を高める必要があるといえます。

過去の類似課題
過去の鉄筋コンクリート造2階建の出題を振り返ってみると、平成18年に出題された「地域に開かれた絵本作家の記念館」、平成14年の「商店街に建つコミュニティ施設〔鉄骨造(純ラーメン構造)2階建〕北陸・東海・九州ブロック」が今年の課題に類似しています。過去の出題は、建物全体の面積構成、所要室の要求など参考にできることも多く、概要を示しておきます。

平成18年の課題概要
地域に開かれた絵本作家の記念館〔鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)2階建〕
敷地 22.00m×21.00m  462.00m2
接道:南側(幅員6.0m) 北側は公園に隣接
延べ面積 260m2以上290m2以下
人員構成 館長1名、事務員2名、ボランティアスタッフ(常時2名で交代制)
所要室 1階 エントランスホール、展示室、収蔵庫、休憩・談話コーナー、事務室、更衣・休憩室、便所、多目的便所
     2階 創作室、児童図書室、スタッフ室、倉庫、授乳室、便所
駐車、駐輪スペース 車いす使用者用1台、サービス用1台、自転車10台
階段、エレベーター、スロープ、屋外テラス

平成14年の課題概要
「商店街に建つコミュニティ施設」 〔鉄骨造(純ラーメン構造)2階建〕
敷地 20.00m×18.00m 360.00m2
接道:北側(幅員6.0m) 南側(幅員8.0m)
延べ面積 250m2以上290m2以下
職員構成 管理責任者1名、事務員2名
所要室  1階 玄関、事務室、多目的室、湯沸室、便所、車いす使用者用便所、倉庫
      2階 和室、洋室、湯沸室、便所
駐車、駐輪スペース 小型乗用車(サービス用)1台、自転車10台
エレベーター・スロープ・通り抜け通路・屋外イベントスペース











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