設計製図>平成27年課題

3階に住宅のある貸店舗(乳幼児用雑貨店)〔鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)3階建〕2015.06.12(金)

平成27年二級建築士試験「設計製図の試験」の課題


「3階に住宅のある貸店舗(乳幼児用雑貨店)〔鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)3階建〕全ブロック(全都道府県)共通

平成27年二級建築士試験「設計製図の試験」の課題が発表されました。「3階に住宅のある貸店舗(乳幼児用雑貨店)〔鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)3階建〕」です。

この設計課題から「3階に住宅」「貸店舗(乳幼児用雑貨店)」「鉄筋コンクリート造」という3つのキーワードが読み取れます。3年ぶりに「鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)」が指定されました。さらに、二級建築士試験では2回目の出題となる「3階建」は大きなポイントであり、計画力と作図力が大きく問われる課題と考えられます。



3階に住宅

住宅として気をつけなければならない問題として、「親子のふれあいや家族の団らんを大切にした居間、食事室、台所の計画」や「家族・友人等で楽しみながら料理・食事ができる空間の計画」等が考えられ、室の面積構成や配置にも配慮が必要になります。

3階に住宅ということで、縦動線には階段・エレベーターを利用することになりますが、その配置も大切です。



貸店舗(乳幼児用雑貨店)

実務では「消費者の視点に立った店づくり」など店舗設計のポイントは沢山ありますが、設計製図試験で要求されるのは、店舗面積や階数、店への入りやすさ、客とサービスの動線、陳列棚などの家具や設備が要求どおり適正に配置されているか、などです。

また、乳幼児用のキッズコーナー・喫茶コーナーなどの要求も考えられ、そのゾーニングも重要なポイントになります。

ベビーカーでの移動や誰もが使いやすいユニバーサルデザインとすることが重要です。バリアフリーを考慮する場合は段差解消や道路からのアプローチなど、主に移動に関わる配慮が必要です。

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鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート造3階建が指定されています。高さについては、二級建築士が設計できる「3階建」は「建築物の最高高さ13m以下、かつ、軒高9m以下」と建築士法に規定されていますので、この範囲内で出題されると想定できます。



設計条件の想定

<設計主旨>

課題の最初に記載される最も重要な設計条件として、

・貸店舗部分と住宅部分は、出入口を明確に分離する。
・貸店舗の一部は天井高(吹抜)を指定する。
・貸店舗部分の独立性に配慮する。
・貸店舗部分は、乳幼児および保護者の交流の場となるように計画する。
・貸店舗部分は、バリアフリーを考慮する。
・貸店舗部分を前面道路と関連付ける。
・テラスやイベントスペースを設け、貸店舗の一部分と一体的に利用する。
・住宅部分の居間は、日当たりに配慮する。
・既存樹木に関連させた配置計画とする。
・アプローチ指定・制限。

などが考えられます。

<敷地>
敷地は、16m×16mのように、メーターモジュールの寸法で出題されることが多いようです。過去のRC造の出題から、敷地面積は200〜300m2程度が想定できます。

RC造では二面道路の出題が圧倒的に多く、道路で表と裏を挟まれた敷地や角地、東西南北のどれに接道するかによって多様なパターンが考えられます。また、敷地の一部を緑地スペースとし、建築物を制限することも考えられます。

<延べ面積>
二級建築士が設計できる「鉄筋コンクリート造3階建」の延べ面積は300m2以下であり、これを超えるものは一級建築士でなければ設計できないと建築士法に規定されています。

設計製図の試験においても、この300m2以下の範囲で出題されています。過去のRC造の出題では延べ床面積230〜290m2程度のものが大半です。

A2の答案用紙に作図するため、これ以上に大きな敷地面積や延べ面積では用紙に納まらないことも面積範囲を制限していると思われます。

<構造、階数及び建築物の高さ>
鉄筋コンクリート造3階建が指定されています。高さについては、二級建築士が設計できる「3階建」は「建築物の最高高さ13m以下、かつ、軒高9m以下」と建築士法に規定されていますので、この範囲内で出題されると想定できます。

<要求室>
貸店舗部分については、雑貨販売スペース、喫茶コーナー、キッズスペース、多目的室、倉庫、客用便所、一部の室の天井高指定・上階を設けない、などが考えられます。

住宅部分については、玄関、居間、食事室、台所、夫婦室、子供室、予備室、納戸、浴室、洗面脱衣室、洗面所、便所などがあり、特に居間、食事室、台所は1室としてもよいと条件されることも考えられます。

それぞれの室機能を理解し、適切な動線計画ができるようになることが大切です。

<エレベーター>
3階に住宅があることで、エレベーターの設置の可能性もあります。

<屋外施設等>

貸店舗用、住宅用それぞれに、駐車スペース、駐輪スペースが要求されることが考えられます。車椅子の利用に配慮する場合は、乗降のための広い面積の駐車スペースが必要です。また、テラス、イベントスペースなどが要求されることが考えられます。



要求図面

課題発表時に要求図面が公表されました。”要求図書については、1階平面図兼配置図、2階平面図、3階平面図、立面図、断面図、面積表、仕上表、主要構造部材表及び計画の要点等とする。(注)答案用紙には、「1目盛が5ミリメートルの方眼が与えられている。」”と公表されています。

「主要構造部材表」について
過去の課題では、「主要な1階の柱断面、2階床大梁及び3階床大梁の断面、主要な外壁の厚さ、2階床スラブ及び3階床スラブの厚さ」の寸法記入が要求されています。今年度も同様と考えられます。試験の中で実際に構造計算をすることは難しいですが、柱、梁などの形状、配筋、鉄筋量が適当がどうか判断できる能力を養うことも大切です。

計画の要点等について
”計画の要点等については、概ね100〜200字程度で課題における特定の要求室に関し、その計画等に当たって工夫した点等を具体的に記述するものとする。”と公表されていますので、記述した文章と図面の整合性が重要です。

5時間という限られた時間の中で、複数のテーマをもった3階建ての建物を計画し、平面図3面を描き上げるだけでも大変な作業です。

本年度の課題は、エスキースとRC造の理解に重点を置きながら、作図のスピードを確実に身につけ、完成度を高める必要があるといえます。



過去の類似課題
過去の出題を振り返ってみると、類似課題は数回出題されています。過去の出題は、建物全体の面積構成、所要室の要求など参考にできることも多く、概要を示しておきます。

平成21年の課題概要
商店街に建つ陶芸作家のための工房のある店舗併用住宅〔鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)3階建〕
敷地 10.00m×20.00m 200.00m2
接道:南側(幅員8.0m)
延べ面積 270m2以上300m2以下
人員構成 親世帯:夫婦(60歳代)
子世帯:夫婦(30歳代)、子供(男子小学生)
1階 店舗兼ギャラリー、工房、倉庫、多目的便所
玄関ホール
2階 居間・食事室、台所、子夫婦寝室、子供室、洗面所、便所、収納
3階 食事室・台所、親夫婦寝室、浴室、洗面脱衣室、便所、収納
住宅用エレベーター1基、スロープ
ルーフガーデン、搬出入路、自転車3台

平成24年の課題概要
多目的スペースのあるコミュニティ施設〔鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)2階建〕
敷地 18.00m×18.00m(角地) 358.00m2
接道:北側(幅員10.0m)、東側(幅員10.0m)
延べ面積 260m2以上300m2以下
人員構成 館長1名、職員2名、従業員2名交代制
1階 エントランスホール、多目的スペース、倉庫、喫茶スペース、事務室、通用口、備品倉庫、便所、多目的便所
2階 和室、会議室、湯沸室、倉庫、便所
2以上の階段、エレベーター1基、スロープ
屋外カフェテラス、車いす使用者用1台、サービス用1台、自転車6台





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