設計製図>平成25年課題

レストラン併用住宅(木造2階建) 2013.6.12(水)

平成25年二級建築士試験「設計製図の試験」の課題

「レストラン併用住宅(木造2階建)」全ブロック(全都道府県)共通

平成25年二級建築士試験「設計製図の試験」の課題が発表されました。「レストラン併用住宅(木造2階建)」は併用住宅に分類できます。この設計課題から「レストラン」「住宅」という2つのキーワードが読み取れます。

レストラン

レストランとは、食品衛生法により「飲食店」に該当します。飲食店とは、主として注文により直ちにその場所で料理、その他の食料品または飲料を飲食させる事業所をいいます。西洋料理店をレストランと呼ぶ場合が多いようです。レストランはメニューや設計条件によって厨房面積が異なり、厨房機器の配置にも考慮が必要です。また、レストラン客席部分の床高や天井高が指定されることも考えられ、カフェテラス等の計画が要求されることも想定できます。

住宅

住宅として気をつけなければならない問題として、「親子のふれあいや家族の団らんを大切にした居間、食事室、台所の計画」や「家族・友人等で楽しみながら料理・食事ができる空間の計画」「高齢者の同居」等が考えられ、これらの設計条件が要求されるかどうかによって、室の面積構成や配置にも配慮が必要になります。また、条件によっては住宅部分のプライバシーを保ちつつ、レストランへ行き来できるよう計画することが大切です。

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設計条件の想定

<設計主旨>

課題の最初に記載される最も重要な設計条件として、
 ・レストラン部分と住宅部分の出入口を分離する。
 ・レストラン部分と住宅部分は屋内で行き来できる計画とする。
 ・レストランを緑地スペースに関連付ける。
 ・レストラン客席の床高・天井高を指定。
 ・レストランの厨房への搬入口を設ける。
 ・カフェテラスを設け屋内の客席部分と一体的に利用する。
 ・既存樹木に関連させた配置計画。
 ・アプローチ指定・制限。
などが考えられます。

<敷地>
敷地は、18m×18mのようなm単位の寸法で出題されることが多いようです。敷地面積としては、300〜330m2程度が想定できます。一面道路、二面道路(角地を含む)がありそれぞれ東西南北の接道が想定でき、多様なパターンが考えられます。また、敷地の一部を緑地スペースとし、建築物を制限することも考えられます。

<延べ面積>
要求される延べ面積は、180m2〜230m2の出題が最も多く、近年の出題では英会話教室併用住宅が最高で、230〜270m2、最低は、ピアノ教室併用住宅の150m2〜190m2です。A2の答案用紙に作図するため、これ以上に大きな敷地面積や延べ面積では用紙に納まらないことも面積範囲を制限していると思われます。

<構造、階数及び建築物の高さ>
木造2階建が指定されています。二級建築士試験では、その要求条件から在来工法で解答します。

<要求室>
レストラン部分の要求室には、レストラン客席、厨房、更衣室、従業員休憩室、客用便所などがあります。また、レジスターの配置にも考慮しなくてはなりません。
住宅部分では、玄関、居間、食事室、台所、夫婦室、子供室、予備室、納戸、浴室、洗面脱衣室、洗面所、便所などがあり、特に居間、食事室、台所は1室としてもよいと条件されることも考えられます。それぞれの室機能を理解し、適切な動線計画ができるようになることが大切です。

<エレベーター及びスロープ>
屋外からの車いすの利用、玄関ポーチ、屋外テラスへの屋外スロープの設置など、細かい条件が要求されると思われます。また、エレベーターの設置の可能性もあります。

<屋外施設等>
カフェテラスなど屋外スペースが要求されることが考えられます。レストラン用・住宅用として、それぞれ駐車スペース、駐輪スペースが要求されることが考えられます。車椅子の利用に配慮する場合は、乗降のための広い面積の駐車スペースが必要です。その他、過去には、屋外に家庭菜園や花壇を設けるなどの要求があった課題もあります。

要求図面

今年は、課題発表時に要求図面が公表されました。”要求図書については、1階平面図兼配置図、2階平面図、立面図、2階床伏図兼1階小屋伏図、矩計図、面積表及び計画の要点等とする。なお、計画の要点等については、概ね100〜200字程度で課題における建築物及び敷地に関し、その計画等に当たって工夫した点等を具体的に記述するものとする。(注) 答案用紙には、1目盛が4.55ミリメートル(矩計図の部分については10ミリメートル)の方眼が与えられている。”と公表されています。

5時間という限られた時間の中で、テーマをもった2階建ての建物を計画し、平面図2面を描き上げるだけでも大変な作業です。矩計図を描くために、木構造の十分な知識が必要でしたが、伏図を描くにあたってより一層深い理解・知識が求められます。本年度の課題は、エスキースと木構造の理解に重点を置きながら、作図のスピードを確実に身につけ、完成度を高める必要があるといえます。

計画の要点等について
”計画の要点等については、概ね100〜200字程度で課題における特定の要求室に関し、その計画等に当たって工夫した点等を具体的に記述するものとする。”と公表されていますので、記述した文章と図面の整合性が重要です。

過去の類似課題

過去の出題を振り返ってみると、平成19年に出題された「住宅地に建つ喫茶店併用住宅」、平成6年の「喫茶コーナーのあるケーキショップ併用住宅」が今年の課題に類似しています。過去の出題は、建物全体の面積構成、所要室の要求など参考にできることも多く、概要を示しておきます。

平成19年の課題概要 住宅地に建つ喫茶店併用住宅(木造2階建)
敷地 18.00m×15.50m 313.00m2(2.0×2.0の隅切り)
接道:南側(幅員8.0m) 西側(6.0m)
延べ面積 190m2以上230m2以下
家族構成等 夫婦(夫婦で経営し、夫58歳、妻55歳)、子供(女性会社員22歳)
所要室
1階
喫茶店部分:喫茶室、食品庫、多目的室、趣味作業室、客用便所
住宅部分:玄関、居間・食事室・台所、和室、浴室、洗面所、便所
2階
住宅部分:夫婦寝室、書斎、子供室、洗面所、便所、納戸
屋外テラス 7m2以上、テーブル計4席
駐車、駐輪スペース 乗用普通自動車3台、自転車5台

平成6年の課題概要 喫茶コーナーのあるケーキショップ併用住宅(木造2階建)
敷地 18.20m×18.20m 329.24m2(2.0×2.0の隅切り)
接道:北側(幅員10.0m歩道付) 東側(幅員6.0m)
延べ面積 180m2以上220m2以下
家族構成 夫婦(夫婦で経営)子供2人(女子高校生、男子中学生)
所要室
1階
店舗:売場(喫茶コーナー含)、ケーキ製造室、倉庫、洗面所、便所
注)店舗部分の床面積の合計は、70m2程度を目安とする。
住宅:玄関、居間、食事室、台所、予備室、洗面所、便所
2階
住宅:夫婦室、子供室(2室)、浴室、洗面脱衣室、家事室、便所、納戸
駐車、駐輪スペース 東側道路に関する部分に乗用普通自動車3台










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