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  近隣の街並みに配慮した車庫付二世帯住宅(木造2階建) 全ブロック (全都道府県) <<< 前のページに戻る

平成17年の課題「近隣の街並みに配慮した車庫付二世帯住宅(木造2階建)」について 2005.6.25(土) 


 平成17年二級建築士試験「設計製図の試験」の課題が発表されました。全ブロック(全都道府県)の「近隣の街並みに配慮した車庫付二世帯住宅(木造2階建)」は、専用住宅に分類できます。

 今年度の課題の特徴は、「近隣の街並みに配慮した」「車庫付」「二世帯住宅」というように、3つのテーマ(キーワード)が複合している点です。

 過去の出題を振り返ってみると、「車庫付」という課題は、平成5年に北海道・東北・近畿ブロックで出題された「車庫付専用住宅(木造2階建)」、平成13年度近畿ブロックの「ルーフガーデンのある親子二世帯住宅(鉄筋コンクリート造(壁式構造)2階建)」で出題されています。
 また「二世帯住宅」は、昭和61年に北海道・東北・北陸・九州ブロックで出題された「それぞれの専用の玄関をもつ親子二世帯住宅(木造2階建)」、平成元年度(東北・関東・中国四国ブロック)の「親子二世帯住宅(木造2階建)」、平成3年度(北海道・東北・近畿・中国四国ブロック)の「家族の団らんを大切にした親子二世帯住宅(木造2階建)」、平成12年度(北海道・東北・関東・東海・北陸・近畿・中国四国ブロック)の「趣味(音楽)室のある親子二世帯住宅(木造2階建)」、前述の「ルーフガーデンのある親子二世帯住宅(鉄筋コンクリート造(壁式構造)2階建)」などが類似しており、このほかにも「高齢者が同居する〜」や「将来の高齢化に配慮した〜」といった課題も関連すると捉えると、頻出課題であるといえます。

 また、今年度課題の大きな特徴は、昨年度と同様に「2階床伏図兼1階小屋伏図」が要求され、加えて従来通り、立面図が要求されていることです。
 特に「1階小屋伏図」が要求されていることから総2階建ではなく、1階の面積が2階より大きくなると考えられます。このことから室配置及び室形状に注目すると、一昨年課題の北海道・東北・関東・近畿・中国四国ブロックで出題された「工房のある工芸品店併用住宅(木造2階建)」で「店舗部分の売場は、天井の高い空間とし、上部には2階部分を設けてはならない。」ことが設計条件としてあげられた点などが類似しており、今年度の課題に置き換えると、例えば車庫部分が下屋で、ほかは総2階として計画できるなど、平面構成要素の減少にともなって、昨年度の要求図面に加え、立面図が付加されたのではないかと考えられます。

 さらに、今年度課題の主要テーマである「近隣の街並みに配慮した〜」は、過去の出題と照らし合わせると、平成4年度に関東・近畿・中国四国ブロックの「常設ギャラリーをもつ写真館併用住宅(木造2階建)」の中で既存樹木保存の指示や、平成6年度の関東・近畿ブロックで「喫茶コーナーのあるケーキショップ併用住宅(木造2階建)」で角地部分が緑地スペースとして指定、そのほか店舗併用住宅等で、道路境界部分を植栽等のスペースとして確保し、建物を計画してはならない等、類似した内容で何度か出題されています。
 そこで、「近隣の街並みに配慮」が一般的に何を意味しているか、理解しておくことが必要です。「街並みに配慮」ということから、建物の配置や室計画、外観(窓の位置など)、外構の形態・素材、植栽等について配慮が必要と考えられます。

 その他、専用住宅として気をつけなければならない問題として、「親子のふれあいや家族の団らんを大切にした居間、食事室、台所の計画」や、「家族・友人等で楽しみながら料理・食事ができる空間の計画」等が考えられ、これらの設計条件が要求されるかどうかによって、室の面積構成や配置にも配慮が必要です。

 上記にあげた過去出題の専用住宅は、建物全体の面積構成、所要室の要求など参考にできることも多く、課題の概要を示しておきます。

平成5年の課題概要
 車庫付専用住宅
敷地
14.56m×13.65m 198.74m2
南側接道(道路幅員6.0m)
延べ面積
140m2以上170m2以下
家族構成
夫婦、子供2人(女子高校生、男子中学生)
所要室
1階
自動車車庫、玄関、居間、客間、食事室、台所、浴室、洗面脱衣室、便所、納戸
2階
夫婦室、子供室(2室)、洗面所、便所、納戸
平成12年の課題概要
 趣味(音楽)室のある親子二世帯住宅
敷地
16.50m×20.00m 330.00m2
西側接道(道路幅員6.0m)
延べ面積
180m2以上210m2以下
家族構成
親世帯:夫婦(60歳代)
子世帯:夫婦(40歳代)、子供1人(女子中学生)
所要室
1階
玄関ホール、居間、食事室・台所、趣味室、夫婦室(親世帯)、浴室、洗面脱衣室、便所、納戸
2階
夫婦室(子世帯)、子供室、和室、洗面所、便所
駐車スペース
小型乗用車(5人乗り)1台
平成6年の課題概要
 喫茶コーナーのあるケーキショップ併用住宅
敷地
18.2m×18.2m 331.24m2
北西二方向接道(北側道路復員6.0m+歩道2.0m×2、東側道路幅員6.0m、)
延べ面積
180m2以上220m2以下
家族構成
夫婦、子供2人(女子高校生、男子中学生)


1階
店舗
売場、ケーキ製造室、倉庫、洗面所、便所
1階
住宅
玄関、居間、食事室、台所、予備室、洗面所、便所
2階
夫婦室、子供室(2室)、浴室、洗面脱衣室、家事室、便所、納戸
駐車スペース
小型乗用車(5人乗り)3台
・店舗部分の喫茶コーナーは、緑地スペースとして関連づけて、心地よい空間となるよう配慮する。
平成14年の課題概要
 (工房のある工芸品店併用住宅)
敷地
15.00m×20.00m 300.00m2
北側接道(道路幅員6.0m)
延べ面積
190m2以上230m2以下
家族構成
夫婦(50歳代)


1階
店舗
売場、工房、準備室、便所、洗面所
1階
住宅
玄関、和室、納戸
2階
居間、食事室・台所、書斎(夫用)、書斎(妻用)、浴室、洗面脱衣室、便所
駐車スペース
小型乗用車(5人乗り)3台、駐輪スペース5台
・店舗部分の売場は、天井の高い空間とし、上部には2階部分を設けてはならない。

設計条件について
課題の最初に記載される最も重要な設計条件として、親子のふれあいや家族の団らんを大切にした居間、食事室、台所を計画する。家族・友人等で楽しみながら料理・食事ができる空間を計画する。和室を設ける。居室の日照に留意するなどが考えられます。
車庫については、道路〜車庫〜玄関等の動線や、車庫と住宅部分との屋内出入り口等についての留意が考えられます。
条件によっては、二世帯の玄関を別々に設けるのかなど、世帯それぞれの暮らし方や関係等の考慮が必要です。
また、街並みに配慮することから、建物のセットバックや既存樹木の保存、圧迫感のない敷地(道路)境界の演出などが要求されると予想されます。


<敷地>
敷地は、18.2m×18.2m程度が多く、10間×10間のように尺貫法モジュールの寸法で出題されることが多いようです。敷地面積としては、300〜330m2程度ということになります。一面道路、二面道路(角地を含む)がありそれぞれ東西南北の接道が想定でき、多様なパターンが考えられます。

<延べ面積>
要求される延べ面積は、180m2〜220m2の出題が最も多く、近年の出題では最高で250m2、最低は、ピアノ教室併用住宅の150m2〜190m2です。A2の答案用紙に作図するため、これ以上に大きな敷地面積や延べ面積では用紙に納まらないことも面積範囲を制限していると思われます。

<家族構成>
専用住宅の課題では、家族4人(夫婦、子供2人)というような条件で出題されていますが、平成11年の課題のように、家族5人(夫婦、子供3人)の場合や複数世帯、高齢者が同居する場合、夫婦のみ等が考えられます。このことにより所要室要求が異なることになります。

<所要室>
家族構成により子供室や夫婦室など居室の要求数に違いが出ますが、一般的な住居の室構成の想定でよいと思われます。

<駐車・駐輪スペース>
車庫が要求されていますので、屋外の駐車スペースの要求はないと考えられます。車庫に関する過去2回の出題では、車庫の大きさについて、「15m2以上20m2以下(幅3m以上、奥行き5m以上)とする。」「出入口には、シャッター等を設ける。」など、あらかじめ指定されています。
駐輪スペースについては、家族が地域との関わりを大切にしている場合など、例えば、平成11年度の「家庭菜園のある専用住宅」では、「家庭菜園で収穫されたものを用いて、家族・友人等で料理・食事ができる屋外空間を計画する。」との設計条件から5台分の屋外駐輪スペースの要求が、また一昨年度の「吹抜けのある居間をもつ専用住宅」では、家族構成が三世帯であることから駐輪スペース3台が要求されています。

<要求図面>
近年の専用住宅(木造2階建)の出題は、1階平面図兼配置図(1/100)、2階平面図(1/100)、立面図(1/100)、矩計図(1/20)、面積表という構成が殆どでしたが、今年度はこれらに加え、「2階床伏図兼1階屋根伏図」が要求されています。これまでも矩計図を描くために、木構造の十分な知識が必要でしたが、伏図を描くにあたってより一層深い理解・知識が求められます。


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