平成17年設計課題

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今年の課題「防災学習のできるコミュニティ施設」について 7/24(日)

平成17年一級建築士「設計製図の試験」設計課題が発表されました。「防災学習のできるコミュニティ施設」です。

防災学習のできる施設として、防災学習センターと呼ばれるものがあります。全国規模でみると最近よく建築されています。近年、多くの災害を経験し、危機管理を再認識しようとすることに起因すると考えられます。既存の防災学習センターは、暴風雨体験室、地震体験室、消火体験室、煙体験室、展示室、立体映像3Dシアター等を備え、防災の知識を普及し、危機意識を促し、いざという時に行動できるよう対応能力を向上させることが主な目的です。

しかし、これらが目的の施設であれば、「防災学習センター」という課題になるのでしょうが、今年の課題の主体はコミュニティです。個人の防災意識を地域コミュニティに拡大させる施設として、また、災害時の避難場所としての機能を備えた施設の可能性も考えられます。

防災学習を検索し研究してくだい

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過去に出題された課題の傾向を参考に”防災学習のできるコミュニティ施設”を考えてみました。

設計主旨について
課題の最初に記載される最も重要な設計条件として、防災学習部門・コミュニティ部門・管理部門の適切なゾーニングと動線計画、災害時の避難場所としての配慮、施設の自然採光、周辺環境への配慮、緑化、アプローチ制限などが考えられます。

<敷地及び周辺条件>
過去の出題では敷地面積2000u〜3000uの角地が多く、それぞれの道路から主アプローチ、従アプローチを考慮した計画を行うことが大切です。今年の課題でも東西南北の接道が想定でき、多様なパターンが考えられます。周辺条件も様々考えられますが、隣地に静寂を要する住宅や病院などがある場合には、十分な配慮が必要です。

<建築物>
ラーメン構造による鉄筋コンクリート造2〜3階建の出題に多く、地階が求められることもあります。延べ面積は各部門の規模により異なりますが、2000uから5000u程度が考えられます。また、所要室として考えられる立体映像3Dシアターや展示室など、大きな空間を計画するために柱を抜き、鉄骨の梁を使用することが考えられ、"一部鉄骨造としてもよい" 条件付けられることもあります。A2の答案用紙に1/200で作図することを考えると、これ以上に大きな敷地面積や延べ面積では用紙に納まらないことも面積範囲を制限すると思われます。

<屋外施設>
施設利用者用・サービス用の駐車スペース、駐輪スペースが考えられえます。また、敷地内にまとまった広さの防災学習スペースやコミュニティ広場、さらに災害時の避難スペースが要求されることも十分考えられます。

<所要室>
防災学習部門の所要室は、暴風雨体験室、地震体験室、消火体験室、煙体験室、展示室、立体映像3Dシアターなどが想定できます。また、コミュニティ部門は、ラウンジ、集会室、サークル室、図書室、軽食・喫茶室、大浴場、医務室、管理事務室、センター室長室等があります。それぞれの室機能を理解し、管理部門を含めた動線を考慮した計画ができるようになることが大切です。

<要求図面>
近年の出題は、1階平面図兼配置図(1/200)、2階平面図(1/200)、各階平面図(1/200)、断面図(1/200)、面積表という構成が多いようですが、立面図が要求される場合もあり、練習しておく必要があります。

類似課題

平成 7年「市街地に建つコミュニティセンター」
平成12年「世代間の交流ができるコミュニティセンター」
平成14年「屋内プールのあるコミュニティ施設」


このようにコミュニティ施設は近年、出題頻度が高い課題といえます。特に、平成7年に出題された「市街地に立つコミュニティセンター」は、災害用備蓄倉庫を備え、地震災害時などにおいて、東側の公園に避難した住民に対する支援活動の場となるよう配慮することが条件され、今年の課題の主旨にも類似しています。建物全体の面積構成や所要室の要求など、参考にできることも多いため概要を示しておきます。

 平成7年の課題概要 「市街地に立つコミュニティセンター」
敷地 50m×40m 2000m2 北側道路(幅員15m)
延べ面積 2400m2以上2900m2以下
屋外施設 駐車場6台分、自転車置き場20台分
所要室 エントランスホール、ラウンジ、集会室、サークル室、和室、図書室、展示コーナー、軽食・喫茶室、大浴場、休憩コーナー、医務室、管理事務室、センター室長室、応接室、機械室、電気室、災害用備蓄倉庫、倉庫、便所
要求図面 1階平面図兼配置図(1/200)、2階平面図(1/200)、3階平面図(1/200)、断面図(1/200)、面積表

 平成12年の課題概要 「世代間の交流ができるコミュニティセンター」
敷地 50m×65m 2750m2 北側道路(幅員15m) 東側道路(道路幅員12m)の角地 南に傾斜  
延べ面積 2200m2以上2600m2以下
屋外施設 コミュニティガーデン、遊び場(幼児・学童)、駐車場(車いす使用者用1台、サービス用4台)、自転車置場20台、ゴミ置場
所要室 交流部門 陽だまりラウンジ、情報ラウンジ、ギャラリー、多目的ホール、倉庫、喫茶室、サウナ・気泡風呂
生涯学習部門 趣味・娯楽室、パントリー、倉庫、教室(2室)
子供部門 遊戯室(2室)、図書コーナー、保育室、パントリー、保育士控室、子供用便所
その他 エントランスホール、事務室、講師控室、医務室、倉庫、便所、電気・機械室
要求図面 1階平面図兼配置図(1/200)、2階平面図(1/200)、断面図(1/200)、面積表

 平成14年の課題概要 「屋外プールのあるコミュニティ施設」
敷地 52m×38m 1976m2 東側道路(幅員15m) 北側道路(幅員15m) 
延べ面積 2300m2以上2800m2以下
屋外施設 屋上庭園、駐車場:車いす用2台・サービス用2台、駐輪場:20台、ごみ置場
所要室 生涯学習部門 教室、図書室、和室、浴室、講師控室、パントリー
スポーツ施設部門 プール室、監視室、トレーニングルーム、エアロビクススタジオ、更衣室、ラウンジ、指導員室、器具庫
その他 レストラン、プール観覧用ギャラリー、エントランスホール、エレベーターホール、事務室、医務室、倉庫、便所、電気・機械室
要求図面 1階平面図兼配置図(1/200)、2階平面図(1/200)、3階平面図(1/200)、断面図(1/200)、面積表

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